「理系の英語こそ語源を意識しましょう」

医学部図書委員・図書館医学部分館長 大倉 義文

 中学生の1年生からの英語の勉強は、それこそ「This is a pen」からはじまり徐々に「過去形」「現在完了形」を習い始めると、「英語の理解には抽象的なイメージが大切なんだな」となんとなく理解するようになってきました。

 高校生になると、イメージがかっこいいなと思える英単語に出会い始め「抽出 extraction」「同定 identification」がその代表例でした。ところが、文系の先生方には叱られるかもしれませんが、意訳というのでしょうか“英文をきれいな日本語(味わいのある日本語)に和訳する”作業も求められた傾向があり、大学入学のための受験勉強として「日本語としての意味」を丸暗記していました。

 大学の医学部6年間でも専門用語は英語やラテン語もどきで覚えていましたが、解剖学の部位の名称の英語表記がほとんどで、抽象的なイメージでの単語は「恒常性 ホメオスタシス homeostasis」くらいだった印象でした。

 ところが、卒業して医学研究のための論文を読み始めると上述の「抽出 extraction」「同定 identification」が、「抽出される be extracted (from)」や「同定される be identified (as) 」のように形を変えて目に触れるようになり、中学生の頃の「英語の理解には抽象的なイメージが大切なんだな」という感覚があらためて思い出されるようになりました。ただ、悪しき受験勉強の名残としての「日本語としての意味」の丸覚えの理解では限界が見えはじめ、特に医学英語のヒアリングでは頭の中で単語の意味を日本語として捉えるため、音声のスピードが早くなると日本語の意味がちらつきそのスピードについていけない状況でした。

 そんな中、高校生の時に丸暗記用に活用していた「試験に出る英単語(森一郎)」(青春出版社)の中に、英単語が接尾辞・語幹に分解されて語源が解説されていたことを思い出し(当時はほとんど無視して丸暗記していましたが)、また、インターネットの普及で英語の意味を調べる際に『〇〇 語源』と検索すると 英単語の意味と語源を同時に知ることができるようになり、また、英単語の語源をイラストを示しながらまとめてくれている本(「英単語の語源図鑑(清水建二・すずきひろし)」かんき出版)があることがわかり、今では医学部大学院の授業の際にその本を紹介するようにしています。

 理系の英語は学問ではなく、トレーニングですし、トレーニングには効果的なツールがつきものです。ぜひ論文を読んでいる時にわからない(イメージしにくい)英単語は語源を意識して理解すると、記憶に残りやすく、また(大袈裟ですが)欧米の人たちのイメージの捉え方にも理解が及び新たな発見になります。

  「理系の英語こそ語源を意識しましょう」

 

  • 医学部分館(学術情報課)

    〒814-0180 福岡市城南区七隈七丁目45番1号 Tel:092-801-1011/Fax:092-862-6930

  • 福岡大学図書館(学術情報課)

    〒814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19番1号 Tel:092-871-6631/Fax:092-865-3794

TOP

MENU