No.30
『1616年バイエルン・ラント法その他』
Bayern --
Landrecht, Policey - Gerichts-Malefitz- und andere Ordnungen der Fürstenthumben Obern und Nidern Bayrn.
München : N. Henricus, 1616.
9 pts. in 1 v.([10] leaves, 827 p., [6] leaves) ; 36 cm.(fol.)
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継受されたローマ法でもって固有法を「改革」するこころみは、都市のみならず、ラント=領邦においてもおこなわれた。たとえば、プロイセン・ザクセン・バイエルンである。ここでは、バイエルンを取り上げる。バイエルンでは、つとに16世紀に、こうした『改革ラント法典』が公布されていた。その後、1616年、バイエルン公マクシミリアンが『改革ラント法典』を改訂したものを公布した。この法典には、ラント法のほかに、ポリツアイ(警察行政)法・裁判所法・刑法その他が包摂されている。
中央には、ラント法その他の表題の下に『旧約聖書・申命記』第1章第16節以下から主のことばとして「かれが、市民であれ、異邦人であれ、正であることを裁きなさい。人々の間で差別がないようにしなさい」との引用がある。また、左下方には「緑なす月桂樹でもって正義を飾るところに平和がある」とあり、右下方には「生き生きとした信仰は祖先伝来の信義によって花と咲く」とある。
下方中央には、バイエルン公の紋章を、向かって左には「正義」、そのうえに「豊穣」を配する。右下には、教会と十字架をもった「神への愛」を、そのうえには聖体と十字架をもった「信仰」を配する。上方中央に位置するのは、「知恵」である。「正義」の位置に注目したい。「正義」は、上方中央にはなく、「豊穣」の下位に置かれている。
ちなみに「ポリツアイ法」には捕獲を禁止する水棲動物の大きさについての規定があり(第4巻第9章第3条)、さまざまな水棲動物のうつくしい版画が挿入されている。
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