30.[略画苑【りゃくがえん】]

(刊)大本一巻一冊
文政六年(1823)
(江戸)恵斎【けいさい】筆
江戸 鍬形【くわがた】氏 蔵版
彩色版

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    序に「余常に恵翁か画を以て夏雲に比す。愈出て愈奇に、しかも定まれる跡なきをもつてなり。 其定れる跡なきものをしゐて名づけて略画といふ。既に刻行して世におこなはるゝもの若干種。今又其遺れるを拾いあつめて 略画苑といふ。人其繁きを厭はざること炎日を遮屏する蜜雲のごとし。余か夏雲を以て比するもの是乎非乎、 書して大方の諸君にとふ。五郎作新発意識癸未抄冬(印)」と。序末に「神田沙弥」の印があるので、 24.『略画式』に序した神田庵小知と同人であろう。略画モノの最初から見て来た人だけに、 その夏雲の見立ては全く同感というしかない。内容は十二ヶ月の年中行事の俗事を主として、終りに雑の部を置いたもの。 『諺画苑』と並んで恵斎略画モノの稀品である。