
12(A).[諸職画鏡]【しょしょくえかがみ】
12(B).諸職畫鑑【しょしょくえかがみ】(外)
大工や諸職人にむけた墨摺図案・絵手本集であることを巻頭「凡例」(半丁)に表明する。
「世に和漢の画本多しといへども皆諸の名画の写しのみにして日用の間に合ぬなり。今此画本は絵の入用の諸職人のため
或は画こゝろある人を早く画道に入しめんが為に北尾恵斎先生の工風せられ置きしを予ひそかに此一巻を見てこひ求め
則諸職画鏡と題し梓にちりばめ広く世に行はせしむ 寛政七年乙卯初春 申椒堂主人誌(印)」序中の題名に「諸職画鏡」
とあり、初版を「画鏡」とし、後印に改題して「画鑑」としたもの。因みに、同じ板元から寛政七年(1795)には、
24.『略画式』が刊行されている。
序(半丁)以降、文章は無く全て恵斎の画(序も含めて計三十九丁)。
「倡妓【ジョロウ】」「酒呑【サケノミ】」といった和の当世風俗から、仁王・飛天といった仏教関係、関羽・張飛の中国武人、
大津絵、鶴・燕、牡丹、朝顔といった花鳥まで、多様に渡る和漢の画題を精緻に描く。
なお、(A)本(表紙・薄柿地色無紋、題箋欠)、(B)本(表紙・薄縹地色斜格子地紋)、
刊記の板元数は違うが序文を含め内容は同。(A)本は保存状態が悪いものの摺りが良く、恐らく初版の「画鏡」本であろう。