近年、図書に関わることで私の学生時代と大きく異なる点が二つある。一つ目は電子書籍が増えたことである。紙の本と電子書籍とどちらが良いか、便利かという議論ではなく、個々が自分の生活や必要に応じて選択していくことが良いのだろう。電子書籍のメリットは、時間や場所を問わずに購入が可能であり、何冊の本を持ち歩く場合も重くなることもない。汚損の心配もなく、利便性の視点から選択されることが考えられる。学生時代、深夜に必要な本が手に入ればいいのに‼と思ったことや、何冊もの本を鞄に入れて移動した日の大変さを思い出すと、時代の変化が羨ましく感じる。このように挙げると紙媒体の本のメリットは弱く、感覚的なものになってしまうかもしれない。それでも、やっぱり紙媒体の本が良いという人も少なくはないだろう。ページをめくる紙の質感やインテリアとして本棚に並べるという側面からも満足感が得られる人もいる。
二つ目は図書の空間についてである。蔦屋書店などではカフェが併設されるようになり、ドリンクや軽食を楽しみながら本を手にする場の提供を始めた。今でこそ社会に馴染んできているが、最初は驚きと共にそのスタイルの定着には懐疑的な気持ちもあった。しかし、本だけに留まらず、雑貨や人気アイテムなどを陳列し新しいプラットフォームとして活用するなど、本を読む空間も多様化され、図書の空間は新しい機能を持つ場として役割も変化した。私の学生時代の図書の空間といえば勉強としての空間や、自宅での個人的な空間、移動時間等の空間などが多かったが、今はちょっとした隙間時間に読書と軽食を同時に楽しむという読書との付き合い方がオープンになり、タイムパフォーマンスを重視する現代の流れや、忙しい生活の中で求められる休憩や癒しの空間としてその価値が高くなっているように感じる。
本学の図書館においてもこの二つの変化に対応していることを学生の皆さんには知ってもらいたい。街中のような「おしゃれ」な空間ではないかもしれないが、多くの電子書籍が閲覧可能であり、軽食可能なスペースも増えている。皆さんの学生生活をより充実した時間にするために、図書との付き合い方や図書館の利用について、自分の生活に合わせて考えてみるのも良いのではないだろうか。
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図書における時代の変化
スポーツ科学部図書委員 信岡 沙希重
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