W・モリスのケルムスコット・プレス


モリスの葉っぱマーク ケルムスコット・プレス刊本の価格

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 高価な本、安価な本
ケルムスコット・プレス53作品の中で・・・

当時最も高価だった本
ヴェラム(羊皮紙)刷りでは
No.40『ジェフリーチョーサー作品集』
→120ギニー(現在の3,000,000円相当)
紙刷りでは
No.15『ブイヨンのゴドフリーとエルサレム征服の物語』
No.34『イアソンの死』
→共に20ギニー(現在の504,000円相当)

当時最も安価だった本
No.18『ゴシック建築-美術工芸展協会の講演』(紙刷り)
 →2シリング6ペンス(現在の3,000円相当)

 当時のイギリス貨幣の単位
1ペンス    現在の100円相当
1シリング    12ペンス ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 現在の1,200円相当
1ポンド     20シリング ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 現在の24,000円相当
1ギニー    1ポンド1ペンス 現在の25,200円相当 


 当時のイギリスの家計事情
ケルムスコット・プレスから刊本が発行されていた1890年代頃のイギリスは、ヴィクトリア朝時代(後半)にあたる。当時、様々な発明品などで富を手にする者がいる一方、貧富の差が広がり、貧困世帯が増大していた。全人口の約1/3が貧困世帯であり、成人男性の約59%が年収60ポンド以下の低収入であったと考えられている。ちなみに、モリス自身の年収は900ポンド、ケルムスコット・プレスの職長の年収は120ポンドであった。モリスは自分自身を社会主義者であると宣言しており、芸術を庶民の手に取り戻す使命を意識していたはずである。しかし、当時ケルムスコット・プレスの刊本は、庶民にとっては手にすることが難しいものであったと考えられる。

参考文献
W・J・リーダー著 小林司・山田博久訳『大英生活物語』昌文社1993
小林司・東山あかね共編『シャーロック・ホームズ大辞典』東京堂書店 2001